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臓器移植医療について

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現状の臓器移植医療について

「人間の死」

  1. 心臓死:呼吸停止、心拍停止、瞳孔散大を確認して死とする。
  2. 脳死:臨床的に全脳死を診断する「臨床的脳死」

「法的脳死」

臓器の摘出に際して、臨床的脳死と診断された患者で、実施条件を満たす場合に、さらに、法律に則した脳死判定を実施した結果をもって臓器摘出可能な死体と判定する。

脳死の正しい認識、理解

脳死とは脳幹を含めた全脳機能が完全に失われ不可逆的に停止した状態を指します。
つまり元にはもどらない状態をいいます。

参考:(公社)日本臓器移植ネットワーク
http://www.jotnw.or.jp/studying/4-3.html

日本の法制度

臓器移植法

平成9年(1997年)施行 脳死からの臓器提供
本人が臓器提供の意思を書面により表示し家族が承諾した場合

改正臓器移植法

平成22年7月17日(2010年)施行
本人の意思が不明の場合家族の承諾で提供可能(15歳未満からの臓器提供が可能になる)

臓器移植・提供の現状

※2022年7月25日現在の情報です

日本の脳死からの臓器提供数の推移

改正臓器移植法施行前の累計 86件
改正臓器移植法施行後の累計(家族承諾601件/本人意思166件) 767件
合計 853件

日本の脳死からの臓器提供数の推移のより詳しい数値はこちら

表は横スクロールでご覧頂けます

※数字はすべて脳死下での提供

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
44件 45件 47件 50件 58件 64件 76件 68件※内2件は臓器提供に至らず 98件※内1件は臓器提供に至らず 68件 66件 42件※2022.6月末現在

日本の脳死下臓器提供のより詳しい数値はこちら

日本の6歳未満の脳死からの臓器提供

表は横スクロールでご覧頂けます
  年月日 性別 施設 原因 心臓移植
21 2021年8月4日 - 西日本地方 脳疾患
20 2021年8月2日 愛知小児保健医療
総合センター
頭蓋内疾患
19 2021年6月6日 愛知県内の病院 頭蓋内疾患
18 2020年11月11日 筑波大学附属病院 低酸素脳症
17 2020年3月31日 - 西日西本地方 -
16 2020年2月6日 - 西日西本地方 -
15 2019年10月30日 山梨大学医学部附属病院 低酸素脳症
14 2019年9月23日 愛媛県内の病院 急性脳症
13 2019年4月26日 京都府内の病院 -
12 2019年4月3日 埼玉県小児医療センター 急性脳症
11 2019年2月21日 山形県内の病院 低酸素脳症
10 2019年2月16日 群馬県内の病院 脳機能障害
9 2018年7月21日 滋賀県の病院 低酸素脳症
8 2018年6月30日 東京都 頭部外傷
7 2017年5月10日 広島県内 小脳出血
6 2016年4月22日 神奈川県内の病院 頭部外傷
5 2016年2月23日 東海地方 インフルエンザ脳症
4 2015年10月12日 千葉県 急性脳症
3 2015年1月13日 大阪大学付属病院 脳梗塞
2 2014年11月23日 順天堂大病院 低酸素脳症
1 2012年6月14日 富山大学附属病院 低酸素脳症

日本の6歳未満の脳死からの臓器提供のより詳しい数値はこちら

米国での年齢別脳死・心停止からの臓器提供【全臓器対象】

表は横スクロールでご覧頂けます
  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年2022年6月1日現在
1歳未満 140 139 124 150 135 123 106 134 121 126 53
1〜5歳 206 201 222 244 229 197 226 208 186 215 80
6〜10歳 114 123 103 126 125 113 104 126 113 103 41
11〜17歳 392 410 392 419 445 463 439 449 440 478 187
18歳以上 7,291 7,396 7,755 8,140 9,037 9,390 9,846 10,953 11,728 12,941 5,557
合計 8,143 8,269 8,596 9,079 9,971 10,286 10,721 11,870 12,588 13,863 5,918

アメリカの脳死下臓器提供のより詳しい数値はこちら

  • 2018年度脳死・心停止からの臓器提供件数(人口100万人当たりの件数)
    スペイン:48、アメリカ:33、日本:0.88

諸外国の「人の死」の捉え方と臓器移植の現状

アメリカ、フィリピン、シンガポール、オーストラリア、デンマーク、スウェーデンでは、法律で脳死を「人の死」と捉えています。また、台湾、ベルギー、フランス、カナダでは、法律には規定せずに、医学会、医師会などの判断によって脳死を「人の死」と認めています。

脳死者からの臓器摘出について、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどは、本人の意思が不明の場合は家族が提供を承諾すれば可能としています。また、スペイン、フランス、ベルギー、オーストリアなどは、本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ、臓器提供が可能という法律を制定しています。

どうしてこんな事態になってしまったのか考えてみますと、日本の最初の心臓移植が1968年に行われた和田移植が最初です。この移植は脳死判定への疑義(執刀医自ら判定基準もなく実施)、レシピエントの適応性への疑義(本当に移植が必要だったか)があり脳死臓器移植への反対気運が高まりその後30年間にわたり空白の期間がありました。また脳死に対しての正しい理解が進まず今の事態を招いています。

臓器移植に関心を持っていただいて理解を深めていただきたいと思います。

その上で自分または家族が臓器を提供するか提供しないか、また臓器提供を受けるか、受けないか決めてもらいたいと思います。

日本で1,000人/年の臓器提供が行われれば5,000人の命が救われます。
(一人の脳死者から平均5人が救われます。心臓・肺(2)・肝臓・腎臓(2)・膵臓・小腸)

日本で臓器移植が進まないことにより待機者の死亡、生体肝移植の増加、海外渡航移植、臓器売買への日本人の関与が起こっています。

日本では脳死に対する理解が遅れています。長期脳死と言う言葉がありますがこれが脳死に対する誤解を生んでいます。脳死になって1年生きた、成長したとの報道がありましたが、これは決して脳死ではありません。先進国の死の定義はすべて全脳死か脳幹死です。

イスタンブール宣言とは

国際移植学会では 2008年4月30日から 5月2日にかけて、トルコのイスタンブールで、 "International Summit on Organ Trafficking and Organ Tourism" を開催しました。 世界 78ヶ国、154名のメンバーが参加し、3日間の協議の末に「イスタンブール宣言」を 取りまとめるに至りました。

[ 宣言の要点 ]

  1. 臓器売買や金銭的な利益を得ることを目的とする臓器の仲介・斡旋業を世界から根絶する
  2. 臓器提供の自給自足(国外患者への治療は、それによって自国民が受ける移植医療の機会が減少しない場合のみ許容される)
  3. その他 法制化、医療環境の整備、ドナーに対するケア、教育

移植とは

無償の贈り物 ―― 愛と善意
ドナーへの感謝の気持
移植を受ける権利、受けない権利
臓器を提供する権利、提供しない権利
人の命の大切さ、相手を思いやる心、信頼と感謝

乳幼児を除いて自分の病状理解、移植への本人、家族の前向きな気持ち、最終目標は家族が普通の生活に戻ることです。