9月10日から12日まで、東京・京王プラザホテルで開催された「第62回日本移植学会総会」に参加しました。今学会では、TRIO JAPANから5組の仲間たちが、4つのセッションで発表の機会をいただきました。
かつて少年期に心臓移植を経験した仲間たちは、その後に立ちはだかったさまざまな困難や葛藤を乗り越え、ドナーからつないでいただいたいのちへの深い感謝と、そのいのちを未来へつないでいく覚悟を、自らの言葉で示してくれました。苦難を乗り越え、力強く歩み続ける彼らの姿に、勇気をもらった参加者も多かったのではないでしょうか。

将来、移植医療に関わることを目指す学生たちは、社会の一人ひとりに移植医療を「自分ごと」として考えてもらうため、移植医療が持つ力と、その先に広がる可能性を、若者ならではのアイデアに乗せて発信しました。既存の枠にとらわれない若い感性で、まっすぐに思いを伝える彼らの姿は、会場に新たな風を吹かせてくれたように感じます。

渡航移植を経験したご家族は、改めてドナーとそのご家族への深い感謝を示すとともに、移植後の生活のリアル、そして、つないでいただいたいのちで人生を謳歌していく覚悟を語られました。さらに、現在の医療界に対し、「病気」だけを診るのではなく、その人が歩んできた人生、そして、これから歩んでいく人生まで見つめることの大切さを提言されました。


ドナーご家族は、ある日突然訪れた悲劇のなかで娘さんの意思と向き合い、深い悲しみのなかで、その意思を生かそうとした日々の生々しい記憶を、私たちに語ってくださいました。現在の制度や支援体制は、臓器提供後のドナーご家族の心情に寄り添い、継続的に支えていくには、いまだ十分とは言えません。そのお話の一つひとつには、この国の移植医療をより良いものにしていくための、大切な気づきとヒントが数多く込められていました。ドナーとなられた娘さんが、どれほどご家族に愛され、どのような青春を送ってこられた女性であったのか。その人生に触れ、会場は深い涙に包まれ、彼女に思いを馳せる時間となりました。

TRIO JAPANのロゴには、ドナーとレシピエント、それぞれの「幹=いのち」がつながり、一つの大きな「樹木=いのち」を形づくっているという意味が込められています。今学会では、ドナーとレシピエントを中心に、患者家族、医療者、学生、そして移植医療に思いを寄せる多くの方々が、それぞれに心強い幹となり、さらに大きな樹木を形づくっている――そんな感覚を抱きました。

立場や経験は違っていても、それぞれの声に耳を傾け、互いの思いを知り、ともに考えること。その積み重ねが、日本の移植医療をより良い未来へと動かしていくのだと思います。改めまして、私たち5組に、4つのセッションで発表する機会をくださった慶應義塾大学の添田先生、国際医療福祉大学の荒木先生に、心より感謝申し上げます。そして、登壇者を支え、発表に耳を傾け、ともに考えてくださった皆様をはじめ、今学会に関わられたすべての方々に、心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
